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k-coの独り言

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2008年 09月 07日

息子


離婚して家を出た2年後に 阪神大震災があった。

衝動的に家に電話を、かけてしまった。
家を出る時に、旦那から言われた言葉。
「家を出るからには、今後一切子供との接触はやめてほしい。
会うことは勿論。電話も手紙も一切してくれるな。」
受話器に手をかけたとき、頭をよぎったけど
わが子を気に掛けない母親が、どこの世界にいるものか?
心の葛藤をよそに、思い切ってダイヤルを押す。
「もしもし、お母さんだけど大丈夫だったの?」
「おかあさん?!こっちは大丈夫やったよ!お母さんは大丈夫?」
涙は自然と溢れ、震える声を精一杯抑えながら・・・
「お母さんは大丈夫やったよ。みんな無事?」
「うん、お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも一緒に居るから心配ないよ。」
「良かった!行ってあげられなくて・・・」
「こちらのことは、心配ない。なんで掛けてきた?約束は守ってくれ。」
「・・・・・」
知らない間に、旦那と入れ替わってた。
それでも約束だと?安否を知ることがそんなにいけないことなのか?
非情な言葉はいつまでも残っていた。

家の様子を見に行くだけなら・・・・
そう思い、その後も度々そっと遠くから見守っていた。
後ろめたい気持ちを、どこかでごまかすように
仕事を装っては、近くまで走ったことも。
守るべき約束も、そのうち見失いかけていた頃。
息子の誕生日に、受話器をとった。
ワンコールだけしたら切ろう・・・プルルル、プルルル、プルルル
切れない、受話器を置けない、その時
「もしもし、○○です。」
「あ、お母さんやけど・・・お、誕生日おめでとう。」
「おかあさん?!ありがとう!お母さん元気にしてるの?」
弾んだように、話す息子。
色んな話をした、学校のこと、弟のこと、祖父母のこと。
「あんまり長く話せないからね。少林寺拳法は続けてる?」
「ううん、もう辞めちゃった。」
生まれつき体が弱かったため、スイミングか武術か習わせることにした。
どちらがいいのか?本人に決めさせたとき
習いたいと言って始めた、少林寺拳法。
休むことをせず、一生懸命続けて小学5年の終わりには
初段がとれるだろうというところまでになっていた。
ところが、辞めたと?
「なんで辞めたの?好きで頑張ってたのに、もったいないよ~!
もう少しで初段じゃなかったん?」
しかし、返ってきた言葉は

「だって、だってお母さんがお迎えに来てくれなくなったから。」

つらさを通り越し、私の意識は遠のいていった。
私が通した意地は、何の罪もない息子達の愛情や幸せだけでなく
全ての楽しみさえも奪い取っていた。
私は息子の刺すようなその一言に、返す言葉もなく
ただ、じっと黙ったままだった。

「お母さん、また電話してきてね!僕ずっと待ってるからね。」
「ありがとう、ありがとう・・・・」
電話を切ってからも、口から漏れるのは懺悔の気持ちと詫びる言葉だけだった。
鬼子母神でさえ、子供を大事に育てたと言うのに
私は息子達を捨てた、その事実に変わりはない。

その晩
眠れず、ただ涙が溢れるばかりで
気が付けば、空が白んでた。

by lucky-powder | 2008-09-07 19:48 | ノスタルジー | Comments(2)
Commented by kagura_mac at 2008-09-08 10:05
たとえ離れていても、K-coさんはいいお母さんだと思うよ。
気持ちがあるもの。
そうじゃないひともいっぱいいるよ。
Commented by lucky-powder at 2008-09-08 10:15
ありがとう ^^

お恥ずかしい話で。。。。。 ;


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