k-coの独り言

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2008年 06月 17日

へその緒




20年前、結婚生活が破綻し家を出た。
どうしても修復することが出来ず、決断した離婚。
心残りは2人の息子達。。。。

「お父さんとお母さんは、もう一緒に居ることが出来なくなりました。
君達はどうしますか?お母さんと家を出るかお父さんとここに残るか?
自分で考えてください。」


勿論、本心ではないけれど本人達に決断させることで、納得させるつもりでいた。
ところが彼らの決断は私が思っていたのとは違い、衝撃的だった。

「僕達はここに残る。学校もあるし友達もおるし。お父さんと男三人で仲良く暮らしていく。」

「お母さんは強いし何でも出来るから、一人でも生きていけるけど、お父さんは淋しがりやから
僕達がいなくなって一人ぼっちになったら死んでしまうかも知れへんやん。」

「わかった。じゃあ、弟のことは頼んだよ。仲良く頑張ってお父さんを助けてあげてね。」

彼らは目に涙をいっぱいためて、泣きたいのを必死で我慢していた。
今までは
「男の子はどんなことがあっても泣いてはいけない!」と、言い聞かせてきた。
彼らは最後まで強がることで、なんとか私を思い留まらせようとしていた。
「今日は泣いてもいいよ、怒らないから。」
「僕は男の子やもん!弟を守らんとあかんから絶対泣かない!!」

私はなんてひどい母親なんだろう。
声を殺して泣く息子達を置いて振り返ることなくそこを出た。
彼らは追いかけてこなかった。

10年後の彼の成人の日。
この日をどれほど待ち望んだことか。
私の願い事が叶えられる時がきた。
立派に成長した息子と会える・・・・・
人ごみの中から自分の子供の姿を、探せるのか?
そんな不安は一瞬にしてかき消された。
あんなに沢山の人ごみから現れた息子はそこだけが違う色に見えた。
涙を、感情を抑え、毅然と構えて息子を迎えた。
「大きくなったね。」
「お母さん?変わったね、違う人みたいやん。」
息子は私の頬を優しくなでながら微笑んでくれた。

そして色んな話をいっぱいした。
彼らは思ったより大人で、私達夫婦の不仲を理解していた。
生活が苦しいことも、それを補うために内職をしていたこと。
強いと思っていた母親が実は弱く、よく泣いていたこと。
全て理解しているからこそ、出て行く私を止められなかったと。
子供だと思っていたが、私達夫婦はそんな気苦労をさせていたのだ。

「お母さん、あの時の約束覚えてる?僕が大人になったら絶対会いに行くから、それまでは
頑張って強いお母さんでいてねって。ちゃんと守ってくれたんやね、ありがとう!」

「ごめんね、二人をおいたまま出てきたことすごい後悔してるんよ。苦労掛けてごめんね。」
「後悔しちゃ駄目。それは後を振り返ることと同じこと。
でも、反省はするべきかな?もう終わったことだし
お父さんも僕らも今まで一度もお母さんを恨んだり、憎んだりしたことはないよ。
お母さんには変わりないんやし、だから今があるんやし。」

そう言ってにっこりわらった。

私は言葉につまってしまった。
彼が私の知らない間に、こんなに大人になっていたなんて。
一人になった私なんかより、ずっと淋しかったろうに、悲しかったろうに、つらかったろうに。

毎日泣き暮らし、時間を忘れるように昼も夜も必死で働いて・・・
そんな私なんかより彼らのほうが苦労を重ねてきたことを思うと、
心が張り裂けるように痛くなった。
彼は彼なりに自分を失うことなく、弟を守り頑張ってきた。

「お母さんはお母さんの人生。もう無理しなくても良いよ。僕も結構好きにやってるし、ね!」

ありがとう、本当にありがとう私を忘れないでいてくれて。
今日まで頑張って生きてきて良かった。
後悔する毎日だったけど、これで一つの荷物をおろすことができる。
私は人目も気にせず涙を流し、こらえきれずに泣いた。
そんな私を息子は優しくいたわってくれた。


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私と息子の10年の月日がやっと埋められたような気がした。
あの時、もう完全に切れてしまったと思っていた親子の絆、
”へその緒”はまだ繋がったままだと実感できた瞬間だった。
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by lucky-powder | 2008-06-17 00:00 | ノスタルジー


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